恋愛格差
先に声を出したのは目の前のスレンダー美女だった。
「……誰?」
奇しくも私も同じ事を言うところだった。
「あ、さっちゃん!この人はね……」
ヘラヘラと笑っているカズに向かって顔だけを向けたその人は、噛み付くように怒鳴る。
「カズっっ!こんな時間に連れ込んどいて言い訳は許さないわよ!今日はワタシは10時には帰るって言ってたよね!それより早く帰ったから?それともアポ忘れてダブルブッキングとか?お前は社会人何年目だ!営業失格!」
と吠えたてている。
その前のカズは肩をすぼめて小さくなった。
「いや、俺は今営業じゃないし……」
カズのとんちんかんな失言は昔からのことなので放っておくが、その失言はどうにも彼女の更なる怒りを買ったようだ。
女を連れ込んでこんなに怒ってる?
まさかこの人、カズの彼女?
「あ、……あの…」
「あんたも!ここはね。私だって半分家賃払ってるんだから出てってよ!ヤるなら他所でヤってちょうだい!」
と、指を指して私に説教。
「あの!」
「なによ!なんか文句あるっ?」
「あなたは……優と……」
「……?すぐる?」
「あ、いえっっ!……カズの彼女さんですか?」
ムッとした表情でカズを睨み付ける。
「カズぅ?………そうねぇ…彼女…だったかもしれないわね…。
今はあなたがいるんだものねぇ…」
カズは目をまんまるにして否定した。
「違う!違うよ!俺、さっちゃんだけだよ~」
「女を連れ込んどいて、下手な芝居打ってんじゃないよ!出てけっ!」
なるほど。
こんな状況にしたのは紛れもなく私なのだが、
冷静に二人を見ていた。
カズにはこの彼女に敵うまい。
ここはひとつ……
「すいません、こんな時間に上がり込んでしまって。
私、カズの幼馴染みなんです。
他意はありません。私がムリヤリ上がり込みました。」
ペコッと頭を下げた。