異聞三國志
士郎は困惑していた。
“この人から見れば私達も夷狄・・・。我々をどうするんだろう・・・。”

「了解した、かたじけない。ところで君はこれからどうするんだ?せっかく君にはの色々な知識がある。その知識を生かして、私に協力してくれないか、頼む。」


「いや我々は一刻も早く我々の時代に戻りたいんです!」


「しかし、どうやって戻るのだ?あてはあるまい?どうやって来たのかだって、わかっていないのに。」


「いや、それはこの・・・。」

とまで言いかけた時に士郎は口ごもった・・・。

ヤマトタケルの笛


この時代に来た時に側に落ちていたので、持って来た。


しかし、4つに割れていたのであった・・・。


「わかりました。我々が戻れるまで、お仕えしましょう。」


「そうか、有難い。では、数日後に迎えをよこすから必ず来てくれよ。あっ、君の名は?」

「我々の世界では江田士郎と言いました。」
「士郎か、じゃあ君は私の遠い親戚ということにして、諸葛の姓を名乗れ。名は庶じゃ。魏に行かざるを得なかった私の盟友、徐庶から頂いた。どうじゃ。」

「はっ、閣下と同じ姓を頂き、ありがとうございます。名前もあの徐庶様と同じとは、名誉なことです。」

「ところで、そこの女子は士郎殿の許嫁かな?」

「違います。理沙子はただ私の幼なじみです。」

「そうです、閣下。なんでこんな士郎ちゃんと許嫁になんか。」

「なんかとはなんだ?」

「まあまあ、でもその方がよいのでは?一緒に住めるし。お互いに嫌いでもなさそうに見えるが。」

二人は少し紅潮して顔を見合わせた。

数日後、宮廷から迎えが来て、士郎は諸葛庶として、宮廷仕えが始まった・・・。


“しかし、蜀が中国を統一するなんて、困難だよ。北伐でも成功しない限り、孔明が長生きでもしない限り・・・。まてよ、そうか。”

士郎の諸葛庶としての戦いはこうして始まったのである。
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