異聞三國志
士郎、虞平共々武術の心得はない。

「せっかく、ここまで来たのに・・・。無念だ。」

士郎が諦めかけた時であった。


ジャーン、


ジャーン


と銅鑼の音が


「庶よ、待たせたな。」


「貴公は、元遜殿!」

諸葛瑾の長男である諸葛恪であった。元遜は諸葛恪の字である。諸葛恪が呉軍を率いて救援に現れたのであった。

「父上の命により、お前を助けるように言われた。それで、我が特務部隊、麒麟団と共にお前をつけてきたら。やっぱり危なっかしくて、出てきたんだよ。」

「かたじけない。」

「ったく、お前じゃ頼りなくてな。まあ、この辺りの山越を調べておくのも、必要だと思ったからな。」

特務部隊である麒麟団は流石に強く、山越族は引き上げた。


「ちっ、逃げ足の速い奴らめ。」

諸葛恪とは瑾の屋敷で会い、ちょうど恪の方が少し年長であったが、同年代であったので、比較的容易に親睦を深めることができた。諸葛恪はプライドも高かったが、瑾より同族のいわば従兄弟のようなものだと言われたので、心を開いて親交を暖めることができたのであった。
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