異聞三國志
「うむ、よってこちらも万全を尽くす。黄河沿いに主力十万を進める。陽動隊として、漢水沿いに宛・許昌を狙う。」


「しかし、洛陽の前面には名うての関所、凾谷関があり、抜くのは至難の技ではありませんか。」


「だから、裏切りと陽動隊なのだ。陽動隊といったが、実はこちらに涼州兵も入れるつもりじゃ。さすれば、機動力を生かして、南方から洛陽を衝くことも可能じゃからな。」

「なるほど、名案です。さすがは閣下。」


このようにして、作戦はすすめられることになった。


準備は着々と進められたが、今回はかなり前線の長安に来たので、士郎が戦場近くまで行くことはなかった。


理佐子は、黄月英の指示のもとに病院の看護師役を受けた。士郎も前線から来る重い症状の患者を受けて治療していた。

しかし、そんな日々もつかの間、士郎には前線の諸葛亮からの手紙が来た。手紙を持って来たのが、馬忠であった。
< 60 / 93 >

この作品をシェア

pagetop