異聞三國志
『はい、そのまさかの劉協様が玉座に戻られるのです。それが本来あるべき姿ですから。』


『やはり、早く劉協様を保護するべきだったか。魏さえ滅びれば、本来の皇帝は劉協様のはずだからな。諸葛亮に出し抜かれたか。だから洛陽陥落後のあの時に早く確保していたら。大義名分は我が方にあったのに。』


『そういう意味でなくてよ、陸遜殿。我が主人の和平案は。』


『あ、あなたは。』

『月英おば様!』

諸葛瑾と理佐子が声の方を振り向いて言った。

『皆さんが幸せに暮らせる世の中を競ってつくるということよ。よいところを取り入れて、互いに補いあって。だから、旧魏領が直轄地であとはそれぞれの王が治めるという。だから朝廷には旧魏、蜀、呉から各々俊英が集まって新しい国をつくるの。素敵でしょ。』

『新しい国・・・。』

『当然陸遜様は朝廷に呼ばれるはず。』

『だから、貴方様から孫権様を説得して欲しいの。お願いできません。』

陸遜はまだ迷っていたが、


理佐子の


『私からもお願いします。』


という上目遣いの顔を見たら断れなくなってしまった。


『う、うむ。仕方ない。説得するか。』


と言いながらも顔が少し紅潮していた。
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