彼女が虹を見たがる理由
予想外の
翌日の放課後。

俺は遠くからグラウンドに水をまく村田さんを見ていた。

相変わらず虹を作っているようだ。

不意に村田さんの大きな目が俺を捕らえた。

しかし村田さんは何事もなかったかのように視線を水へと戻した。

俺は仕方なく、昨日と同じように自分から村田さんへ近づいた。

「虹、見れた?」

「うん」

足元はすでにグショグショで、運動靴で歩くのも躊躇するほどになっている。

「いつまで虹を作るつもりなんだ?」

「虹が目に焼き付くくらいまで」

躊躇なく返事をするという事は、本気なのだろう。

それには一体どのくらいの時間が必要なのか、聞こうとして、やめた。

途方のない時間が必要な気がしたからだ。

「村田さんって、遊園地に興味ある?」

そう聞くと、村田さんは不思議そうな表情を浮かべて俺を見た。

身長差があるから上目づかいで見られているようになり、ドキンッと心臓が跳ねた。
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