彼女が虹を見たがる理由
真実
今から一か月前。

俺と野間は2人で夜の街へ繰り出し遊んでいた。

野間も俺も普段の格好とは違い、かなり派手な格好をしている。

野間はくせ毛をワックスで固めてツンツンに立たせ、大きなシルバーアクセを何本も首から下げている。

俺も簡単に落ちる髪染で部分的に髪を赤くして、派手なアクセを付けていた。

同級生たちが見ても俺たちだとは絶対に気が付かない。

俺と野間と、本田。

この3人は昔からの夜の仲間だった。

昼間は大人しく害のない普通の人間を演じながら、夜になると豹変する。

ちょっとした事なら、俺の父親がどうにかしてくれる。

それを知っているため万引きやひったくり程度なら毎晩のように繰り返した。

内山がやってきた犯罪なんて虫けらを殺すレベルだと思えるほどの罪を重ねた。

それでも、俺たち3人が罪に問われることはなかった。

毎日が自由だ。

俺たちならなんでもできる。

そんな気分に浸っていた時、他人の家に停められているバイクが目に入った。

カッコいい大型バイクだ。

「おぉ!」

俺は迷わずそのバイクに触れていた。
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