控え目に甘く、想いは直線的
大石さんの問いかけに私は「いいですよ」と快諾する。主役の大石さんの希望に応えたいと思った。


「は? 三人しかいないんだからみんなの都合の良い日にまた予約すればいいだろう? 二人でやるのは認めない」


「何で? 俺の誕生日会なんだから、要さんは別にいなくても大丈夫ですよ。野々宮さんがきっと要さんの分までお祝いしてくれるだろうし。ね!」


また「ね!」と同意を求められて、頷いた。

二人でやることに部長は納得しないようだ。


「俺も拓人を祝いたいから、日を改めてやるから。そうだな、6月の2日はどうだ?」


部長がそんなにも大石さんを祝いたいとは思わなかった。もしかしたら、二人は毎年お祝いをしているのかもしれない。

付き合いが長くなると当たり前の行事になるのかな。

大石さんはスマホでスケジュールを確認して呆れたように言う。


「その日は空いていますけど、要さんが俺を祝いたいなんて初めて聞きましたよ。なんだか背筋が寒くなったんですけど」
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