控え目に甘く、想いは直線的
あれ? お祝いするのは二人の間で当たり前のことじゃなかったのかな?


「じゃ、予約しておくけど、野々宮は大丈夫?」


部長は大石さんの言葉を無視して、私の予定を聞いてきた。

パソコン横に置いている卓上カレンダーを見る。6月2日は平日だから、予定はない。基本、平日の夜は空いている。

残業することはまだほとんどないが、気持ちに余裕がないのでなかなか平日に予定を入れられない。突然の思いつきで柊花と食事をすることがあるくらいだ。

「大丈夫です」と返すと、気短な性格なのか部長は早々と予約をする。


「でも、今夜暇になっちゃったね。どこかでご飯食べて帰ろうか? 野々宮さんも予定がなくなったから空いているでしょ?」


「はい、空いてますけど」


予定がなくなったから、あとで母に家で食べると連絡しようと考えていた。

そうか……予定がなくなったのは私だけでなく大石さんもだ。今から母に連絡するより大石さんと食べたほうがいいかも。
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