控え目に甘く、想いは直線的
要さんが私の肩を掴んだので、振り返ると、目の前に顔があり、唇が重なった。

ええっ!

キス?


「じゃ、またな」


触れるだけのキスだけど、突然のことに呆けてしまった私の頬を要さんが軽く触れる。

ハッ!

降りなくては!


「あ、ありがとうございます!」


「なにそれ? キスに対してのお礼?」


「いえ! 違います。あの……」


しかし、弁解する間もなく、ドアは閉められて車は走り去っていった。

最後にキスするなんて、ドラマで見たことのあるデートみたいだ。車でのキスは、夢で見たキスとはシチュエーションが違うけど、正夢と言えば正夢なのかな。

見えなくなるまで要さんの車を見送ってから、熱くなった頬を手で仰ぎながら家に入った。
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