控え目に甘く、想いは直線的
その時、今日も元気な大石さんが入ってきた。まだ要さんが私の手首を掴んだままでいるから、大石さんは首を傾げる。
「拓人、どう? 夕美の服、いつもよりよくない?」
「ああ、同じブラウスとスカートでもテイストが変わるだけで随分と雰囲気も変わるんだね。うん、そっちのほうがいいですよ。それよりも! いつの間に野々宮さんを名前で呼ぶようになったんですか? その服も要さんが買ったんでしょ?」
大石さんに指摘されて、要さんが「夕美」と呼んだことに気付き、私は冷や汗が出そうになった。
それなのに要さんは涼しい顔で「まあね」と言っただけで、自分のデスクに戻る。
「ふうん。野々宮さん、ああいう男が意外に危なかったりするから気をつけてね」
「えっ? 危ないですか?」
「拓人。余計なことを言うなよ」
「はい、はーい」
大石さんはわたしの肩をポンポンと叩いて、自分のデスクに行く。私も同じようにデスクでパソコンの電源をオンにした。
「拓人、どう? 夕美の服、いつもよりよくない?」
「ああ、同じブラウスとスカートでもテイストが変わるだけで随分と雰囲気も変わるんだね。うん、そっちのほうがいいですよ。それよりも! いつの間に野々宮さんを名前で呼ぶようになったんですか? その服も要さんが買ったんでしょ?」
大石さんに指摘されて、要さんが「夕美」と呼んだことに気付き、私は冷や汗が出そうになった。
それなのに要さんは涼しい顔で「まあね」と言っただけで、自分のデスクに戻る。
「ふうん。野々宮さん、ああいう男が意外に危なかったりするから気をつけてね」
「えっ? 危ないですか?」
「拓人。余計なことを言うなよ」
「はい、はーい」
大石さんはわたしの肩をポンポンと叩いて、自分のデスクに行く。私も同じようにデスクでパソコンの電源をオンにした。