控え目に甘く、想いは直線的
要さんは私のオレンジジュースをオーダーして、意味深に笑う。

歓迎会の時は気付いたら、自分の部屋で寝ていた。あの日は要さんが送ってくれたというが、送ってもらった記憶が全くない。

大騒ぎしたというなら、失言などしていないかと心配になる。

送ってもらったことに対して、お礼を言った時に何か言われるかと思ったが、何も言われなかったし、その事に全然触れられなかった。

不安に思ったけど、言われないなら大丈夫だと思い込むようにして、あの日のことは頭の隅に追いやって、忘れるようにしていた。


「夕美さ、あの日に言ったこと、全然覚えていないでしょ?」


「私、なにか失礼なこととか言いました? それとも変な行動をしたとか? なんかとんでもない迷惑をかけたとか?」


酔って記憶を無くしたのは初めてだった。でも、私は上機嫌で帰宅したと母と姉が言っていた。うるさくして、迷惑をかけたのかもしれない。


「別に迷惑じゃなかったよ。また恋をします! 恋って、すごいんですよ、知ってます? と涼を好きになってから自分が変わったことを目を輝かせながら、説明してたよ」
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