控え目に甘く、想いは直線的
「なに?」


「いえ、あの……お二人は高校の時に同じ部活だったんですか?」


何かを言わなくてはいけないと思い、思い付いたのがこの質問だった。

部長の答えを待ったが、先に大石さんが答えてしまう。


「部活じゃなくて生徒会だよ。要さんが生徒会長で、俺が副会長だったんだ」


「生徒会なんですね。会長と副会長……」


「そう、野々宮さんも拓人と同じ副会長やっていたよね?」


「えっ? 野々宮さんも! へー、なるほど」


何に「へー」と納得したのか分からなくて、それを聞こうとしたが違う話題に遮られてしまった。

部長が拓人さんに総務のことを聞いたから、私は入れない話題に諦めて黙々とお弁当を食べるしかなかった。

考えれば考えるほど自分がどうしてここにいるのか分からなくなってきた。

新人研修は受けれないらしいから、前途多難としかないように思える。

大丈夫だろうか。

ちゃんとやっていけるかな。

基本的なことは大石さんに聞けば、教えてくれそうだけど。
隅にあったさやえんとうを口に入れて、もう一度こっそりと部長を見る。
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