控え目に甘く、想いは直線的
朝も早く出勤しているし、ちゃんと休めているのかな。


「野々宮、これをコピーして追加資料に入れておいて」


一週間の間に部長から私への呼び方に「さん」が取れた。よそよそしさがなくなった感じがして、最初に「野々宮」と呼ばれたときはなんだか嬉しくなった。


「9時半から打ち合わせするから」


「はい」


部長から告げられたことに大石さんと私は揃って返事をした。

私の業務は大石さんから与えられることが多いが、部長から直接与えられることもある。

今は何をどうしたらいいのか仕事の流れが分からないので、とにかく与えられたことを正確に早く処理するように心掛けている。


コピーが終わり、自分のデスクに座ってパソコンの電源をオンにする。

パスワードを入力しているとノック音がして、すぐにドアが開かれた。


「失礼しまーす。兄さん、これ昨日の夜に話していたやつ」


「ああ、ありがとう」


「あれ? 君、えーと、何さんだっけ? 合格出来たんだ!」
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