控え目に甘く、想いは直線的
二ヶ所のタイプミスを発見されたが、他の指摘はなかった。

それでもタイプミスは初歩的なミスだ。自分でも確認したつもりなのに見落としていたことに落ち込む。つもりではダメで、しっかりと確認しなければならない、

私は指摘された部分を修正し、間違えたことを謝った。


「大丈夫だよ。この程度のミスなんて誰にでもあるし、次はちゃんと見直しするようにしたらいいんだから。それよりもきれいにまとめられていて、よく出来てるね」


大石さんはミスを怒らないで、良いところを褒めてくれた。恐縮してしまうが、救われた思いがするし、嬉しくなり「ありがとうございます」と小さく返した。

褒められるとやる気が出てくる。私は褒められて伸びるタイプではなかったけど、褒められて気分は悪くはならない。


「小さなミスでも大きなミスに繋がることもある。どんなミスでも二度としないと肝に命じることだな」


そんなこと言われなくても分かってる。分かってるけど、部長に言われて何となく素直に返せなかった。
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