控え目に甘く、想いは直線的
「野々宮さんは決まりね! 要さんはどうします?」


「行くよ……」


私が参加するのが気に入らなかったのか、なぜかじろりと睨まれる。

私なりに考えた結果だけど、相談したほうがよかったのかな?


「要さんが参加すると総務部の女子が喜びますよ。じゃ、早速人事部は全員参加と伝えてきますね」


大石さんは軽い足取りで総務部へと出ていった。

不機嫌そうな部長と二人にされるのは気分が重くなる。


「部長はバーベキュー、やったことあるんですか?」


「普通にある」


「そうなんですね」


短く返されるとこれ以上会話を続けていいものか分からなくなり、私はコピーしようと思っていた書類を持って立ち上がった。


「迎えに行くから」


「えっ?」


「だから、バーベキューの日は野々宮の家まで迎えに行くよ」


「いえ、あの、自分で行きますから大丈夫です」


部長に迎えに来てもらうなんてとんでもない。場所がどこなのかまだ聞いていないけど、自力で行くつもりだ。


「は? 何で行くつもりなんだ? 車じゃないと行けない場所だけど、野々宮は免許持っているか?」
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