雨も好き。

入学式の日、その日は雨だった。
少し憂鬱な気分だった。

そんなとき、軽やかな足取りで俺の横を通り過ぎた奴がいた。

そいつが夏海だった。

たまたま席が隣だったから話しかけた。
｢入学式、雨とかテンション下がるよなぁ。
おれ、安藤瑛星。よろしく。｣

すると、本当に不思議そうな顔で、
｢なんで？雨、良くない？傘に当たる雨音とか、土の匂いとか、素敵だけどなぁ。まぁ、晴れも好きだけどね！｣

面白いやつだなぁと思った。

そのままの流れで一緒に体育館まで移動した。

移動中、夏海は誰かを探しているようだった。

そいつが誰かわかるのはそれから一時間もしないうちだった。