幸せ行きのチケット
水族館につくと、そこそこ混んでいないが7〜8組のグループはいた。

祐輔達の姿は見あたらない。

時間はちょうど待ち合わせの時刻だ。

「あれ〜、おらへんし。」

亜由美に電話しようとした直前だった。

急に肩を叩かれて振り向く。

そこには並木君が立っていた。

「あ、いた〜。みんなは?」

「今来たばっかなんで分かんないんっすよ。」

「そっか…。遅いねぇ〜。」

また携帯の画面を見て時間を確認する。

「先輩、先行った方がいいっすよ。イルカショーがあと10分後らしいっすから。」

「え、だってみんな待たないと……。」

急に並木君は私の手を掴んで水族館の中へと入っていく。

「ちょ…並木君、痛いって。」

並木君は黙って二枚分のチケットを渡している。

「なんで並木君チケット持ってんの?亜由美が持ってんじゃな…。」

また手を引っ張られ、連れていかれる。

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