幸せ行きのチケット
急に手を引いて私を近くに寄せると、ヘルメットをかぶせた。

「しっかり掴んでろよ。」

祐輔はそう言い、バイクを走らせた。

私は祐輔を抱きしめるような格好だ。

ちょうどいいことに、後ろに背もたれがあるおかげで怖いとは思わなかった。

「友利〜!どうだ〜?怖くて乗る気失せただろ〜?」

祐輔は聞こえるように大きい声で話しかけてきた。

「全然怖くないよ〜!だってさ…ムフフ。」

「ムフフってなんだよ。気になるじゃん。」

バイクは小道に入り、静かな通りでは速度を落として走った。

「友利〜。愛してる〜!」

「ちょ!バカ。今は夜だってば。近所迷惑だよ〜。」

「アハハ。そっか、今は夜か。」

「祐輔バカだよ〜。マジありえんて。」

「おぅ!バカ上等!………友利。」

「ん?何?」

「バイク乗る時は俺に言ってからだぞ。勝手にバイク乗ってどっか遠く行くなよな。」

「うん。約束する。」

そう言って私はギュッと強く抱きしめた。

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