幸せ行きのチケット

迫る危機

過去のことを話しているうちに、すっかり遅い時間になってしまった。

隣の祐輔はもう眠たい顔をしている。

「祐輔。起こしてあげるから寝ていいよ。」

「友利は…寝ないの?」

「少しは寝るけど、外ではすぐ眠れないの。」

私は祐輔を、近くの屋根付き正方形型のベンチに座らせた。

仰向けに寝かせると、ベンチは膝下ぎりぎりの大きさだった。

祐輔の顔は、すごくカッコイイ。

でも、アホ。

何もかも含めて私は祐輔が好き。

祐輔があの夜初めて私をバイクに乗せてくれたでしょ?

あの時、すごく気持ちよかったんだよ。

祐輔と一緒に走れて、本当に楽しかった。

また祐輔と一緒に乗りたいな。

今はもう、自分用のバイクがあるせいか、祐輔のバイクに触れていない。

父親に買ってもらった唯一高価なもの。

それは今1番大切なバイクのこと。


< 38 / 217 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop