幸せ行きのチケット
〜第2章〜

嵐の幕開け

時が止まったような気がして、二人を見つめる他なかった。

心臓の鼓動が早すぎて、急に止まってしまうのではないかと思った。

目の前の光景が怖くて、見たくなくて、でも見ずにはいられなかった。

もう、心が折れてしまいそうだよ………。

もう我慢できなくて私はこの場所を去った。

辛くて、胸が苦しくて。

どうしようもないくらい何かにすがりたくなった。

涙が零れない。

なぜか涙が出ないの。

こんな時になんで涙が出ないの?

どうして?

どうしてなの?

亜由美は、どうして?

なんで祐輔に抱きついていたの?

それはただのハグとかじゃないよね?

祐輔や亜由美が、面白半分でもハグなんてしないよね……?

誰かにいてほしいのに、こんな時に限って誰も私に気付いてくれなかった。

1番傍にいたはずの親友と、彼氏の裏切り。

誰が見ても、聞いても、これは絶望と表す他なかった。

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