草花治療師の恋文


コンコンッ!


軽やかに薬草室のドアが鳴った。


「はーい」


それに返事をしたのはカールだ。


「失礼します、カール伯父さま!」

「おや、マーガレット。今日も元気だね。」


テンペスト邸内にある薬草園から、調合に使う薬草を持ってマーガレットがやってきた。


「伯父さま、今日は何に重点を置いてるのかしら?」

「今日は『食思』だね。」

「食思かぁ。」


マーガレットは腕を組んで、机に並べた薬草を見た。


ライザとマーガレットが親子の絆を一層深めてから、マーガレットはライザの薬の調合をする事を許可された。

もちろんライザはすぐには頷かなかったが、マーガレットの強い要望と、カールが責任を持って指導する事を約束する事で説得され、渋々許可を出したのだ。


「伯父さま、決めました!」

「じゃあ、やってごらん」

「はい!」


1日に1度。

これが絶対のルールである。

成長期のマーガレットが薬草を調合をする事は、本来の成長に必要な力を調合に使ってしまう事になり注意が必要なのだ。

調合は想記と同じで、心身ともに負荷がかかる。

想記が施術者によって想記紙の色が違うように、調合は施行者によって完成した薬の色が変わる。

なぜ色がついて、人によって変わることは未だにわかっていない。


調合、想記を覚えたての幼い子供たちは、師の教えを守らずついつい度を越して試してしまい、ダウンしてしまうこともしばしば…。


ライザがマーガレットに調合をさせるのを渋るのは、その事が心配だからだ。

マーガレットは本来の想記に加えての調合になる。

ダウンした時の辛さは、幼き頃のライザが身をもって知っている。


(本当に…ライザの小さい頃にそっくりだね)


カールは、ライザの為に一生懸命調合するマーガレットを見て、フッと笑った。


< 37 / 41 >

この作品をシェア

pagetop