白衣の王子に迫られました。


「じゃーん、出来上がりました!」

待ちに待った夕ご飯が出来上がった。

森下君がテーブルに置いたお皿の上には、あの日食べられなかったオムライスがある。

正式に付き合うことになった私たちは、今、半同棲生活を送っている。

「さ、早く食べてくださいね」

「え、やだ! じっくり味合わせて!」

私が反論すると、森下君は「そんなの駄目です」と急かす。

「どうしてよ」

「それは俺が早く食後のデザートを食べたいからです」

エプロンを外しながら私の目の前に座ると、森下君はもう一つのオムライスにスプーンを指し入れる。

すると、トロリと卵が流れて、デミグラスソースと混じり合った。

「わ、デザートがあるの?」

喜んで聞き返すと、森下君はニヤリと笑っていった。

「俺にしかありませんけどね」

「ええー、ズルい。なに? プリン?」

「違いますよ」

「じゃあ、シュークリーム?」

「それも違います。……今日は絶対に食べるんだって、気合い入れてきましたから何としてでも味わいたいものなんです」

森下君は私をじっと見つめる。

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