Pure Love 【短編】
  


 凪くんは仕事熱心で、あたしがいることにも気づいていないのだろう。


 あたしが生徒会室に入ってきたときから、ひたすらパソコンに資料を打ち込みつづけている。


 ここの生徒会室には、いろいろな物が揃っていて、不自由がない。


 あたしは、戸棚からカップを取り出すと、沸かしておいたお湯を注いだ。


 むわりと、湯気が立ち上る。


 温まったのを確認すると、カップの中身を捨ててもう一度お湯を注ぎ、紅茶をいれた。


 いいにおい。


 沈んでいた気分が、紅茶のおかげで少し晴れやかになる。


 紅茶をいれたカップを持ち、あたしは生徒会室に置かれているソファに座った。


 ミルクティーが好きなあたしは、ウバの茶葉を主に使う。


 そのせいで、ウバの茶葉のストックだけ、減りが早いような気がするけど、補充しているのはあたしだし、茶葉を選んでいるのもあたし。


 ここはもともと、お茶を入れる道具はあったのに、茶葉とかがないからよく飲むあたしが買ってくるようになっていた。


 生徒会室にほとんど人は来ないため、ここはあたしだけが使っているような状態だ。


 というか、ほかの部長たちは、ここに給仕室があることすら知らないかも……。



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