Pure Love 【短編】
それなのに、俺は引き寄せられるようにして、進んでいく。
そして……。
「美桜先輩……」
「……ハルくん……」
そこに、君はいた。
いつもと変わらず、制服を着て、桜の幹に手を当てている。
こちらに気づくと、柔らかい笑みを浮かべた。
本当に、いつもと変わらない……。
「……私は、桜を守る妖精なの」
彼女は真実を語り出した。
「この学校と桜の木を守るために、学校の生徒に成り切ること……それが桜の木の妖精の仕事。
誰にも知られてはいけないから、誰とも仲良くしないつもりでいた。
それは……」
「恋をしてしまうと、存在が消えてしまうから」
「っっ!」
彼女の言葉を遮るようにして、俺は呟く。