手紙は時を駆け抜けて


まだ胸は苦しいのに、そんなふたりが微笑ましくて、私はそっと目を細める。

「そこには、俺らよりもっとバカなのがいるんだから」

康太にふと見つめられて、私は目を丸くする。

すっくと立ち上がって私の元へ歩んでくる康太。

すると瞬きの間に、肩からカバンを抜き去られた。

「何をっ!」

康太の手によってカバンが目の前を舞い上がる。

咄嗟に手を伸ばすも指先にかすめたのはカバンの端だけ。

康太はあっという間にカバンを探り、高々とあるものを曝す。

青白い光で照らされる、幼い文字が躍っている古びた手紙。

「返して!」

私は無我夢中で手を伸ばす。

けれど、康太は私の手をはねのけた。

そして、見開いた瞳で私をじっと見る。


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