気になる彼への恋心


捕まれていない方の手でマスクに指を掛け、下す。

私を見て。

そう言うように顔を上げた。


「っえ?」

「――……私、私は……。高瀬君の……っゲホッ!?」


折角決心したのにぶり返す咳。

慌てて下を向いて片手で口を押える。


「大丈夫!?」


彼も驚いたのかパッと手を離して私の背をさすってくれる。

温かい手の平を感じながら、目を固く瞑った。目の前が真っ暗になる。


ああ、こんな私はやっぱり情けない。


けれど、このままでいいわけがない。だってさっき決心したのだから。

ゲホゲホと咳き込んで、落ち着きを取り戻せるように努める。

ずっと咳が止まらない訳ではないから、止まったタイミングを見計らえばいい。

そのタイミングは、今。


「っ――!私、高瀬くんの特別になりたいの……っ!」



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