Hospital waste
「立て!」

半ば強引に、シエラを引き起こすアレックス。

完全に脅え切っていたシエラだが、そんな事は関係ない。

怯えていようが腰を抜かしていようが、引き摺ってでも逃げなければならない。

まだ立ち上がり切っていない彼女を強引に引っ張って走り始めたお陰で、シエラはヨタヨタと足を縺れさせていた。

獣にとっては好都合だ。

逃げるのにもたついている獲物など、恰好の餌でしかない。

不自然な形状の体でやや走りにくいものの、それを補って余りある瞬発力と俊敏さを誇る。

全力で走るアレックス達を、せっつくように追跡してくる!

アレックスは体力に自信はあったが、女性であるシエラは早くも息が上がり始めていた。

アレックスに手を引っ張られていなければ、もう立ち止まってしまっているかもしれない。

それでもアレックスは強引に彼女を引っ張る。

シエラの心臓がパンクしたって御構い無しだ。

立ち止まれば、心臓がパンクするよりも悪い結果が待っているのだから。

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