空に浮かぶ虹、アスファルトに浮かぶ虹
晴れのち曇り
「で、何乗ってんの?」
この年代の、それもスタンドでバイトするような男子のする会話なんて決まっていた。バイクや車。それしかない。
「えっ。自分すか?」
「そうだよ。他に誰がいるんだよ。」
午前中と言う事もあって、バイトはここにいるふたりしかいなかった。
―――こいつ、使えねぇ奴だな。
たった、それだけの会話で、宙はそんな風に晴を見るようになった。
「あ、自分は・・・。」
晴が、そう言いかけた時、一台の車が入って来た。
「らっしゃいませ。」
大声をあげて、宙は事務所を飛び出した。それに続いて、晴も飛び出した。
「洗車ですか?手洗いと機械とありますけど、どっちにしますか?」
今入って来た車は、俗に言うスーパーカーだった。この手の車に乗る奴の答えは、必ずと言っていいほど同じだ。それをわかっていながら、宙は決まり文句として聞いた。
「手洗いで・・・。」
―――やった。
心の中で、小さくガッツポーズをした。
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