その手が暖かくて、優しくて
その頃、亜里沙たちと同様に、学校を出て家に帰ろうとしていた勝弥は、川沿の公園にいる亜里沙と権三を見かけた。
「あの野郎!亜里沙に何かしたら、ただじゃおかねぇぞ!」
勝弥は公園に向かって駆け出した。



「権三!てめぇ!何やってんだぁ!」
そんな勝弥の声に権三と亜里沙は振り返った。

「勝弥…」権三は思った。
(あの野郎…俺のこの人生最大イベントにまで邪魔しに来やがって…)

2人のところに来た勝弥は権三に
「綾小路に、何を指示された?亜里沙に何かしたら許さねぇぞ!」

(え!これって、綾小路の作戦だったの?)天然亜里沙の頭の中はさらに

????????

「いや!違うんだ亜里沙さん!俺は本気だ!」
権三を疑い始めた亜里沙に、慌てて権三が叫ぶ。

「いったい、何が本気だって言うんだ!」
そう言う。勝弥に

「いや…お前には関係ないんだ。とりあえず、どっか行ってくれねぇか?」
なぜか顔が真っ赤になっている権三を見て、勝弥も

????????

そこへ、
「大田原君が、アタシのこと好きだって…」
空気の読めない亜里沙がぽろっと暴露…

「…………」権三は黙ってしまっている。

勝弥は

はあああああああ??? …と思ったが、
下を俯きながら、顔を赤くしている権三を見て、

(これは…まじか…)
どうやら権三は本気だったんだと思い、
とりあえず


「…権三…なんか…すまん…」
と謝った。


「いや…そんなん、いいから…どっか行ってくれ…頼む…」
しかし、そう言う権三に勝弥は

「だが…それは、できない」

(やっぱり、こいつは性格が悪い。顔のいいやつなんて、皆そうだ。)
権三はそう思い。

「なら、力づくでやるしかねぇな!」一気に奮い立った。
その様子はいつもの権三だ。

「そんな…太田原君!やめてよ」亜里沙はさらなる予想外の展開に驚き、
そう叫んだが、権三と勝弥のケンカは始まってしまった。

いつもの勝弥のケンカなら、たいがい一瞬で決まってしまうのに、噂どおり権三は強かった。

「なんで、俺の邪魔すんだぁ!勝弥ぁ!」
そう言う権三に

「俺も…」

勝弥の蹴りが権三に避けられ空をきる。
同じく殴りかかった権三の攻撃も勝弥にかわされる。

「俺も…」

そう、言いかけながら、次に勝弥の右ストレートが権三にヒットした。
だが、権三は倒れない。


「俺も、亜里沙が好きだからだ!」

「真鍋君…」

勝弥の言葉は亜里沙にも届いていた。




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