イジワル同居人は御曹司!?
「自分で食べられますって」

私は呆れた口調で言う

「何言ってんだ。お粥を作って食べさせてあげるのが看病のセオリーだろ?」

何だそら。始めて聞いたわ。

「もう充分看病してもらってるので大丈夫です」

しかし、奏さんは口を横に結び、納得して無い様子だ。

「紗英、看病と言えど俺はちゃんとやりたいんだ」

奏さんは真剣な眼差しで私を見つめる。

なんか、面倒くさ…もうどうでもいいや。

「…わかりました。じゃあ、お願いします」

私が根負けすると「任せておけ!」と、奏さんは清々しい口調で言う。

結局、奏さんは完食するまで新妻のように張り切って食べさせてくれたのだった。
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