イジワル同居人は御曹司!?
「ウェルアンドカンパニーの羽瀬です。宜しくお願いします」

どうしてメガネがここにいるんだ…?

動揺のあまり心臓は激しく脈打つ。

想定外の出来事に私の脳はフリーズ状態。

「羽瀬さんは羽瀬歩のお兄さんらしい。そっくりで俺も最初は驚いたよ」

うん、知ってる!だって一緒に住んでるし!

…などと言えるはずもなく「ほんと、びっくりー…」と言って引き攣った笑みを浮かべる。

「いつも妹がお世話になっております」

メガネは目元を綻ばせ、柔らかく微笑んだ。

何この笑顔!怖っ!

微笑みかけられて怖い、と思うのは人生初の体験かもしれない。

「データマーケティング部の藤田です」

緊張のあまり指先が震えるのを何とか隠しながら名刺交換をする。

「藤田は妹さんと仲がいいんですよ。今日も一緒にランチしてたしな」

桜井が余計な事をいうので口を塞いでやりたくなる。

「そうですか。仲良くしてやってください」

奏さんは笑顔を絶やさず穏やかな口調で言う。

「は、はい」

なんなんだろう。この豹変ぶり。

奏さんって二重人格なのかな。

それか背中にスウィッチかなんかがついてて、それをポチっと押すとお仕事モードに切り替わるのかしら。

そんなスイッチがあるならば家でも切り替えないで欲しい。
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