イジワル同居人は御曹司!?
「だから桜井さんと付き合っておけばよかったんじゃないっすか?それを恰好つけるからこんな荒れる羽目になるんですよ」

行きますよ、と言って私の腕に自分の腕をからませ、強引に引っ張って行く。

「家もない!男もいない!お金もない!」

私は渋谷の街のど真ん中で叫んだ。

すれ違う人達がビクリと身体を痙攣させてこちらへ振り向く。

ああ…またしても私は身軽だ。

「結局また振り出しにもどっちゃった」

ゆうぽんは絡ませた腕にギュッと力を込める。

「もっといい人に出会いますよ」

「でも奏さんほどのイケメンは早々いないよ?!それに仕事出来るし、背も高いし、ちょっと天然で可愛いとこがあって、いい匂いするし!」

「でも藤田さんの良さが解らないなら大した男じゃないっすよ」

ゆうぽんはクールに言ってのける。

「…ゆうぽんが男だったら今惚れてた」

「気色悪い事言わないでください」

ゆうぽんは老人介護のように私を引っ張って渋谷駅へと連れて行ってくれる。

私と一緒に帰っちゃってよかったのかな。

もしかしたらゆうぽんも気になる男の子だっていたのかもしれないのに。

その優しさがジンと胸に沁みて少し救われた気がした。
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