きみの愛なら疑わない
「戻りましたー」
フロアのドアが開いて同期の潮見が外出先から戻ってきた。潮見はホワイトボードに書かれた自分の名前の下の『外出』の文字を消し、私に近づいた。
「美紗ちゃん、お昼行こ」
潮見の手にはビニール袋に入ったお弁当が見える。
「それってもしかして……」
「そう! 裏通りのカレー屋さんのお弁当です!」
キラキラと目を輝かせる潮見に笑顔を見せると私はすぐにデスクの上を片付け立ち上がった。
食堂に入ってイスに座ると潮見は笑顔でテーブルにプラスチックのお弁当箱を広げた。
「じゃーん!」
私の目の前で開けられたお弁当の中身は美味しそうなポークカレーだ。
「やっと食べられたね」
「ありがとう」
子供のように笑う潮見に感謝して私も笑い返した。
同期入社だけど外回りが多い店舗管理課の潮見と、内勤でデザインや発注を担当する企画管理課の私とではランチタイムがずれてしまう。たまに時間が合うときは潮見が会社の周辺でお弁当を買ってきてくれるのだ。
会社の裏通りに新しくオープンしたカレー屋さんがずっと気になっていた。情報番組で紹介されたほど人気だけれど、会社からは少し距離があって往復して食べるだけでお昼休みが終わってしまい、ゆっくりできないから今まで自分で買いに行くのは諦めていた。
潮見は会社の新店のメニューや試作品も時々持ってきてくれる。私はそれを密かに楽しみにしていた。
「そういえばさっきトイレに入ったら今江ちゃんが泣いててさ」
潮見の言葉に顔を上げた。やはり私の想像した通りになった。
「やっぱりか……」
「また浅野さんに怒られたの?」
「うん」
今江さんが泣く。それは浅野さんに怒られたからという経緯は簡単に考えられる。レストラン事業部の人間なら誰でも。