きみの愛なら疑わない

「結局それもワガママで壊したんです。慶太さんを傷つけたことは一生許しません」

いつもニコニコしている優磨くんには似合わない苦しそうな表情だ。

「本当は俺がカフェでバイトすることも親はよくは思ってないんですけど、社会勉強だって言って説得しました」

「あそこを選んだのは浅野さんが心配で?」

「はい」

優磨くんと浅野さんには家族に近い絆があるのだろう。

「俺春から社会人なんですけど、親に就職先を決められちゃったんです」

「そうなの?」

「はい。初めは城藤系列の会社に入るよう言われたんですけど、自分の職場は自分で決めたくてみんなと同じように就活したんです」

街灯の横を通ると光に照らされた優磨くんの顔は悲しんでいるような笑っているような複雑な顔だ。

「でも城藤の人間だって分かると何社も落ちて……やっと内定もらえた会社は実は親が裏で手を回した城藤の取引先の会社でした。落とされた会社のうちいくつかは親が俺を採用しないようにお願いしたそうです」

それは就職したとしても城藤の関係者は優遇されてしまうかもしれない。御曹司なら尚更だ。優磨くんの実力を正当に評価してもらえない可能性がある。

「逃げられないんです、城藤からは。俺は長男なんで。いずれは会社を継ぐことになるでしょうね……」

普通なら社長としての未来が待っていることに安堵するのかもしれない。でも優磨くんは違う。それは望んだ未来じゃない。

「もしかしたら俺が知らないだけで、もう結婚する相手も決められているかもしれません……」

「…………」

その可能性は十分ある。美麗さんも大学在学中にお見合いの話が出て、卒業と同時に結婚させられるところだった。

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