鉢植右から3番目


 荷物を片付けに自室に戻ろうとして立ち上がり、ついでに溜まった新聞も持って部屋に向かう。

 その時後ろから、ヤツが呼んだ。

「―――――――都」

 返事も忘れてパッと振り返る。あまりに驚いて、新聞を落としてしまった。

 ばさばさと足元に新聞紙が散らばる。

 不意打ちだ。

 今、今――――――――私のこと、都って――――――・・・・

 ヤツは座椅子に片膝立てて座ったままで、絶賛大パニック中の私を見上げて言った。

「裏表になってる」

「―――――――あん?」

「靴下、かたっぽだけ裏表にはいてるぞ」

 見下ろした。確かに、左足の靴下は、裏表反対。

 ・・・・・・あああああああああ~・・・・(泣)

 一瞬、色っぽい艶っぽい未来や言葉を想像した私よ消えなさい。未来永劫消えておしまいなさい!恥かしさで居た堪れなくて、新聞紙をかき集めて自室に逃げ込んだ。

 初めて名前を彼に呼んでもらったその目的は、衣服の乱れの指摘デシタ。

 ちなみに冷え性な私は夏でも靴下をはくので、一日この靴下で行動してました(泣)


 うっわああああああ~ん!!


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