鉢植右から3番目


「・・・決まったって、言ってた?本人の意思はどこへいったわけ?」

「恋人も作れないあんたが何を偉そうに!作ったかと思えば人にとられ、作ったかと思えば人のものだった、ってロクな恋愛してないでしょうが!」

 悔しいことに言い返せない。結婚はしてないけど出戻りしたのと同じ受け入れ方をされている私だ。妻という立場である母親は不倫をしていた私に怒り狂い、相手の上司を殺してやるとぶち切れて暴れる寸前だったのだ。

 その時は、むしろ私が妻に殺されるのよ、と説得(?)してやめさせたのだった。

「大地君なら間違いないわよ、家庭もしっかりした家だし、独身だし、正社員だし、お母さんは不安はないわ~」

 カラカラと笑う母親に眩暈を覚える。・・・・何で、どうしてこんなことに。

「私は、もの凄く、不安なんだけど」

 家の親御さんがしっかりしてたって、当の息子はロクデナシかもしれないではないか!ギャンブル癖があるかもしれないし、酒にのまれる男かもしれないし、前の、スカトロ野郎の例だってある。性癖なんて最後まで判らないじゃん!!

 私はキッと母親を睨んだ。

「身売りよ、これは。私は嫌よ」

 途端に笑顔を消して目を細めた母親が、腰に手をあてた。

「あんたを嫁に出したってお金は貰えないわよ!マトモな家出身の結婚相手を見つけてきてあげたんでしょうが!つべこべ言うなら、今夜限りで親子の縁を切るわ。どこへでも好きなところへ行きなさい!」

 おおっとお!縁切り宣言まで出たぜ!


< 13 / 143 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop