鉢植右から3番目

 ウィンクをしたかったけど、耐えた。笑顔だけ交わして部屋を出る。

 廊下を歩きながら、盛大なため息を吐き出した。

「・・・あーあ、嫁も楽じゃないのね」

 あと1時間で、解放だ。

 台所にいくとお茶を飲んでいた若い女性がにこりと微笑んだ。

 私も同じように返す。

 ・・・ええーっと。確か、彼女はヤツの従妹、だったはず。

「疲れたでしょう、うんざりしますよね、こういうの。余裕でかわしていくから凄いなあ~って尊敬して見てました」

 彼女は少し掠れた声で話した。

 いえいえ、そんな。皆さんいい人ばかりで。と棒読みで言ったら、あははは~と笑っていた。

 ユーモアのセンスもあるらしい。

 大きな茶色の目をくるんと回して、言った。

「うちのお母さんも意地悪だから、気分を悪くされてたら本当にすみません。攻撃大会みたいになるの、何故か、昔から」

 私は今度こそ、ちゃんと言う。

「本当に大丈夫です。これが嫁か!と思っただけで」


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