…だから、キミを追いかけて
「うん…来て良かった…」


ーーーありがとね。波留。
忘れないよ…私…この景色のこと……


遥か遠くまで先が見渡せて、心がうんと広くなる。

行き詰まったら、ここに来ようと思う。
出て行きたくなったら、この景色を思い出すようにする。


新しいときめき。
ここからが始まりーーー。


「ねぇ!折角だから記念写真撮ろう!一緒に来たっていう」

ケータイのカメラを起動させる。

「お前と写るんか⁉︎ 呪われそうやな」

「何によ⁉︎ 変なこと言っとらんとこっち来て!…はい、ポーズ!」

カシャカシャ…と連写。
その方が面倒くさくないから。

「見てみよー!」

一応確認する。
画面の中に映る自分と波留。

青空と海が広がる台地で、寄り添うように写っている。

「こうして写真だけ見ると、恋人同士みたいやねー」
「ゲッ!やめれよ!お前と恋人同士とか、考えれんわ!」
「ひっどー!こっちだって同じ!波留と恋人なんて考えれん!」

ケンカ友達で上等。
恋愛なんて、まだまだ気分じゃない。

「ほら、ちょっとこっち来い!地理教えたるわ」

台地の端まで行って海岸線を指差す。

孤のように広がる砂浜。その先端に立つ赤い灯台。
海の中に霞んで見える波留たちの住む島。
それと陸地とを結ぶ、白い橋……。



故郷は……



「……やっぱりキレイだぁ……」


何度見てもそう思う。

子供の頃から変わらない。

美しい海…
青い空…
そして……


自分自身も………




(帰って来て良かった……)




< 117 / 225 >

この作品をシェア

pagetop