…だから、キミを追いかけて
澄良の家に着くと、波留の手を借りて外へ出た。

小刻みに震える指先。
熱のせいだけじゃない…。
怖さのせいもあった……。


「ふぅ…」

玄関の三和土に座り込む。
奥から澄良が走ってきて、薬を手渡してくれた。


「……ありがとう…澄良……」

ゾクゾク…とする背中を感じながら飲み込む。
腫れた喉にぶつかりながら溶けていく錠剤。
首筋が痛い…頭もぼぅ…とする…。


「…少し寝ていく?布団敷くから…」

奥へ行こうとする澄良の手首を引っ張った。

「…いい。帰る……」

迷惑はかけたくない。
体調を壊したのは自分のせい。
うたた寝のせいでもないーーー。


「じゃあ波留、送ってって!」

澄良が願うように頼む。
当然の如く彼が頷く。

嫌だ……でも、ここには自分の車が無い……。


「…袂の休憩所まででいいから……」

車に乗り込んでから言った。

「何言ってんや!家まで連れてくに決まっとるやろ!」

アホか…と呆れられる。
有り難いけど、これ以上一緒にいたくない……。


「…夕夏、無理せんと送ってもらお!車はまた持ってってあげるから」

後ろに乗った澄良が話す。
二人してお節介…。

悲し過ぎる……。



「ふっ……うぅ……ぐすっ……」


情けなさ過ぎる。自分が……。


「…なんで泣くんだよ。熱上がんぞ」
「そうだよ、泣き止んで…」

心配する声…。

そんなふうに、思いやってもらえる人間じゃないよ……私はーーー……





< 130 / 225 >

この作品をシェア

pagetop