…だから、キミを追いかけて
苦しい程に抱きついて、私のことを褒め称える。

殆ど見せもせず生きてきた母の本音は、いちいち心に突き刺さって痛かった。

自分のお腹に宿った命に対して、私は母ほどの愛情を持てなかった。

きっと本気じゃなかった……。
航のことを…本気で好きじゃなかった……。


だから怖かった……。
だから……生まれてこなかった……。




「ーーーお母さん……」


ぎゅっと母を抱きしめ返した。


子供の頃以来の感触。


母親とは……こんなにもあったかい存在だったんだ……。





「……産んでくれて……ありがとう………」



この世に出てきたことを、今、改めて感謝する。

大好きな人の子供として、かけがえの無い存在として生まれたことを誇りに思う。


ーーー今日からは……自分を愛して生きる………。

母が産み落としてくれたこの命を、慈しんで生きる……。



そしていつか、母のように……


愛してやまない存在を……




…生むんだ…………。




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