…だから、キミを追いかけて
虚しさが突き上げてきた。
取り返せないものが多過ぎて、前を向いて歩けない。

後ろを振り向くと怖い…。

何処にも行けないーーー。



(助けて……誰か………)



膝を抱えたまま、ぽつん…と独り。

孤独を味わう。
感傷に浸る。

まるで、バカな自分を追い込むようにーーーー





「…こらっ!」

怒鳴り声がした。
力強い掌で、私の腕を引っ張る。

3度目の経験。ーーー波留だ。


「いい加減、帰れ!いつまでも海の側に居んな!」

夕暮れの迫る中で見る顔が余計に黒い。
ライフセーバーをしていると言った澄良の言葉が浮かんできた。

「ほっといて!あんたには関係ないやろ!」

地が出る。この人がポンポンと怒鳴るせいだ。

「カンケーねーけど、気になる!お前はキヨのダチやから!」

「友達って言っても、高校の頃仲良かっただけよ!卒業してからは付き合いも殆どなかった…!」

付き合おうともしなかった。
全部投げ捨てて、別の場所で生きたかったから…


「それでもダチやろ!キヨがあんな嬉しそうな顔してんの久しぶりに見た!泣かすな!キヨが泣くとこなんか、誰も見たーねぇ!」

怒ったような言い方をする。癖とは言っても嫌になる。

そんなふうな声を聞きたくない。田舎者の自分を……引き出さないで欲しいーーー。



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