…だから、キミを追いかけて
「……好きなんじゃん……」

わざとらしい言葉を使う。自分を飾る。

…この人達とは違う。
私には…都会もんの血が流れているーーー。


「やっぱり澄良が好きなんじゃん!隠したって無駄!お見通し!」

鼻で笑う。お気の毒さま……って。


「澄良に告ったら?自分も見てくれって」

意地の悪い発言。最悪だ。


パンッ!…と頬を叩かれた。
当たり前。
そうされたかっただけだ。

「アホな事ばっかし言うな!気どんな!タコ!!」

「タコぉ…⁉︎ 」

ムカつく。キュッと手を握りしめて、波留に向かって声を上げた。

「私がタコなら、あんたは何!イカ⁉︎ 炭吐くみたいに人を貶してばっかで、怒鳴ってばっかやん!やめてよ!そんな田舎っぽい言葉使いされんの、一番嫌いなんやから!!」

涙ながらに訴える。
方言と訛りが混じる。自分が一番嫌いな田舎もんを、自分から丸出しにしている。


…情けない限り。
波留に八つ当たりしたからと言って、何も取り返せないのに。


「知らん顔しといて……あんたの顔なんか……見とうない………」



寂しいのに突っぱねる。
人恋しいのに独りがいい。

正反対ばかりを繰り返して、もう…何をどうしたらいいか……分からない………。


「独りにして………死んだりせんから………」



苦しくても生きようって決めたし。

辛いのは今だけだ…って分かってるし。

ただ、這い上がるには力がこもらないだけで。

歩いて行くには前が……見えないだけで。




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