隣のダメ女。
第1話

隣のダメ女

「この扉は、開かないのか?それとも開けられないのか?」



その言葉に、動揺してビクリと身体を震わせる彼女。

ゆっくりと、振り返って苦々しい笑みを向けた。



「……それ、開かずの扉なんですよね。」


彼女は扉を指差しながら、そんなふざけたことを言ってのけた。



「んなわけ、あるかっ!」


扉に手を掛けると、彼女は慌てて止めに入った。


「呪われますよっ!」


その声に、俺は扉にかけた手を止めた。



「む、昔……その扉の奥の押し入れには、恐ろしい生き物が住んでいました。」



カッと瞳を見開いて、一歩一歩近づいてくる。



「身体は青く……そして、狸のような!!!しかも、未知の未来道具を武器に人間をっ!」


「おい。それは、まさかしなくてもドラえ●んとか言うオチか?」



そんなバカな話は、聞いていられない。

押し入れの扉に、手をかけたとき、彼女は「あっ!」と声を上げた。



「そ、そこには青狸の呪いが……。」


「ほーう。その呪いの青狸に会わせてもらおうじゃねーか。」



ガラッと、勢いよく開けた扉から出てきたのは山積みのビデオテープだった。
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