あした、地球に星が降る。

「あーあ、寂しいな……寂しい」



明日には終わってしまう地球。 星が降るその瞬間、私はこの海辺で、ひとりぼっちのまま死んでいく。



「……だれか、迎えに来て」



初めて家族とケンカをして、勢いだけで家を飛び出した。 母には暴言を吐いてしまったし、まだ小さな弟には手まで出してしまった。

そのうえ、学生生活のほとんどの時間を勉強に捧げてきた私には、頼りにする友達も心配してくれる恋人もいない。完全にひとりぼっちだ。


帰りたい。孤独に押しつぶされそうだ。

でも、なにも考えずにふらふらとここまで歩いてきた私はここまでの道のりなんてほとんど覚えていないし、スマホなんて便利なものは今まで一度も手にしたことはない。

持って来たものといえば、星避けの傘とポケットに入っていた五百円玉一枚だけ。 それも途中でパンとジュースを買ったからほとんど残っていない。


ほんの少しのお金とコンビニの袋に詰め込まれたゴミを手にして、目の前には星が降り注ぐ冬の海。

途中で寄ったコンビニまで戻れれば……とも考えたけれど、コンビニからここまでどれくらい歩いたかさえも思い出せない。 それにもし思い出したとしても地球滅亡前日にせっせと働いているコンビニ店員はいないだろう。
< 31 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop