あした、地球に星が降る。

とかぐだぐだ言い訳しつつ、本当はそんなことが原因じゃないのはわかっている。

はじめてあんな風にケンカして、怒鳴って、もし帰れたとしても私はどんな顔で母と弟に顔を合わせればいいのか。 もう受け入れてもらえないのではないか。母と弟に見放されたら、私は……。そんなことを考えるとここから一歩だって動けなかった。


はあ、とため息を吐いて頭を抱える。 白く濁ったそれがじんわりと広がって消えていくのが視界の隅っこで見えた。 忘れていた寒さを思い出して嫌になる。

凍死するのが先か星が降るのが先か。



「どっちにしても死ぬわけだけど」



ここに来てから増えた虚しい虚しい独り言を、息を吐くように吐き出す。そして「死ぬんだ……」ともう一度だけその言葉をなぞった。



「やだ、なんで……」



もういいやって全部わかったつもりでいたはずなのに、お母さんと弟の顔を思い出して涙が出た。 〝死ぬ〟という言葉を口にして、やっと実感が追いついてきたのかもしれない。


ここに留まっていたことを後悔する。

どうせあした死んじゃうなら、怖くたって自分がしたいように進むのがいいに決まってるのに。こんな簡単なことにも気がつかないなんて。

この際、転んだってまた道に迷ったってもう関係ない。 今できることをするしかない。
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