お前、可愛すぎてムカつく。
朱里先輩の顔はだんだん歪んでいった。
それは今にも泣きそうな顔で。
「朱里先輩…?」
「……今から冬弥さんのところに行かなきゃないの」
「と、冬弥さんって!!」
名前を聞いてドクンと心臓が揺れた。
「あなたも知ってるでしょ?…この前あなたが行かなかったからその代わりに私にこいって言ってるみたいで…」
「そんな!颯太先輩はなんて言ってるんですか!?そんなの颯太先輩が許すはず…」
「あの人が冬弥さんに頭上がるはずないでしょ?…颯太が私に行けって言ったんだから」
お腹のそこからフツフツと、怒りがこみ上げてきた。
自分の彼女を…
朱里先輩を冬弥さんに渡すなんて…
「それって…私のせいですよね…私がこの前行かなかったから…」
「それは違う。あのとき行かなくて正解だったよ。蒼空が助けてくれてよかったと思ったもん」
「朱里先輩…ひとつ聞きたいんですけど…蒼空と付き合ってたとき、どうして颯太先輩の方にいってしまったんですか?蒼空とはうまくいってたんですよね!?」