お前、可愛すぎてムカつく。
「蒼空に冷たくされてさー、彩ちゃん泣いてたよ?」
「あん時は俺も余裕なくて…」
「蒼空でも余裕なくなったりするんだ?」
「まぁ…人間ですから」
「その時さ、俺彩ちゃんの事思わず抱きしめちゃった」
コントローラーを置き、俺の方を見た渉はいつもの渉じゃなくて。
片方の口角を上げてニヤリと笑っている。
「なんだよそれ。俺に喧嘩売ってんの?」
立ち上がろうとすると、渉がゲラゲラ笑いだした。
「ハハハッ…俺が蒼空と喧嘩!?勝てるわけないじゃんっ」
「ふざけんなよっ」
「ごめんごめん。蒼空がムキになってるからついね…」
「てめぇっ」
「でも…。もうあんな風に彩ちゃんのこと泣かせないでよ」
突然真顔になる渉。
いつもの渉じゃねぇから、調子狂うな。
「んなこと、言われなくてもわかってる」
「…ならいいけどっ」
スクッと立ち上がり「今日はもう帰るわー」と、背伸びをした。