お前、可愛すぎてムカつく。



桐谷くんは手の甲で口を押さえながら笑っている。


緊張するに決まってるじゃん!


男の子と手を繋ぐの初めてなのにっ…。


確かにこんなことされたら女の子はドキドキしちゃうし、好きになってしまうのもわかる。


私はならないけどっ!



昨日のように激混みの電車に乗り込み、最寄り駅に着いた頃には真っ暗になっていた。


「ほら。こんなに暗いんだから、送って正解でしょ」


「う、うん…」



桐谷くんは電車の中でもずーっと手を握ってて。


手汗でびっしょびしょなのに。

私の反応見て面白がってるのかな!?


駅から歩いて20分。


二人っきりで気まずいと思っていたけど、桐谷くんは次々と色んな話をしてきた。


担任の先生の秘密とか、中学校時代の渉くんのこととか。


話は尽きなくて、あっという間に家に着いてしまった。



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