お前、可愛すぎてムカつく。
外は薄暗くなっていた。
ショーウィンドウに映る私は、さっきとは全然ちがくて。
これなら桐谷くんと並んでも悪くないと思うんだけどなぁ…。
さっきから無言の桐谷くんはなんかちょっと怖かった。
この人って笑ってないとなんか話しかけづらいし、怖いんだよね…。
「あの…もう駅だからさ、ここでいいよ」
「あー。今日も暗いから送ってやるよ」
「え、いいよ別に…」
無理に送ってくれなくてもいいのに。
桐谷くんがそんなこと言ってくれるとは思ってもみなかった。
すると突然私の左手を掴んだ。
「桐谷くん!?」
「もう電車くるじゃん」
私の手を引っ張って、急ぎ足で歩き出す。
だからっなんでこの人は強引なの!?
私の話聞いてないしっ!
しかも手繋いでるし!
左手だけがビリビリして手汗が一気にわき出る。
「榎本さんの手って小せぇな」
「そ、そう!?てか…私逃げないからっだ、だから手はなはなはなして!?」
「ぷっ。緊張してんだ?」